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いわゆる一つのリハビリ。
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不服かい、と聞かれたからそうでもないよ、と答えてみせる。存外嘘でもない。
だというのに彼は決まって顔を顰めるのだ。例え自分がその問いに肯定してみせたとて、返ってくる反応は同じに違いない。素直に意見を述べた所でどうやっても彼の癪に触れずにはいられないのだ。
其れは自分がこの大国の名を背負う以上致し方ないことでもある。
仮に逆の立場に己が立ったとして、彼の問いにどれだけの感情を込めて返せるかどうか。

しかし面白い関係ではある。仕事関係ならばともかく、プライベートでも今こうして同じ部屋で同じ時を共有している事実が、だ。
自分から訪れておいて苛々を隠そうともせず癇癪をぶちまける彼、そんな男を追い返すでもなく何故か持て成して曖昧な相槌と笑みを返す自分。門前払いなどお手の物だというのに、何も言わずに招き入れてしまった自分の一連の動きが今更ながら不思議でならない。
しかし冒頭のやり取りの通り、然程悪い気もしない。

普段ヒーローだなんだと喚き散らすアルフレッドも、こうして日常の中に溶け込めばヒステリックに眉を顰めることもある。彼に好かれる国々は彼のこんな表情など見たことも、想像することさえ出来ないに違いない。
強大な彼に真正面から向き合える自分だからこその特権だ。その方向性が嫌悪によるものだろうが、些細な優越感はこの胸を満たす。
だから案外楽しんでいたりするのだ、彼とのこの曖昧で且つ危なげな橋渡りを。

ちらりと視線を寄越せば「なんだい、」とまた彼は訝しげに目を細めた。
逆に、アルフレッドが何故自分に無意味なまでに関わりを持とうとするのか、それは最早彼の態度から見て判るとおり上司からの命令に他ならないだろう。漬け込める隙を探しているのか単に友好的関係を望んでいるのか。
それを宣告された時の彼の表情をぜひ拝ませて欲しいと思った。

「さっきから何なんだい、俺の顔に文句でも?」
「いや、ただ君の阿呆面って可愛いよね、って。」


end.
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